タイガー石油株式会社さま
1944年の創業以来、ガソリンスタンドや整備工場などを大阪府、奈良県で展開するタイガー石油株式会社(以下、「タイガー石油」)は2020年3月、2021年3月に2年連続で「健康経営優良法人」の認定を取得しています。
若年層の従業員も多く、多店舗を運営していくなかでの健康施策、また健康経営優良法人認定取得への取り組み方について、代表取締役の中野隆伸さま、取締役管理部長の木村盾也さま、執行役員総務部長の川上治時さまにお話を伺いました。
健康経営に取り組み始めた経緯を教えてください。
(中野代表取締役)2018年2月に取引先である保険会社の方から「健康宣言してみませんか?」と声をかけていただいたのがきかっけです。
マラソン好きの役員が健康に目覚めていたことも影響しています。
※健康宣言:従業員の予防・健康づくりに取り組むことを、事業所や組織自らが宣言するもので健康経営優良法人の認定取得には必須条件
(中野代表取締役)ただ、宣言だけでは健康経営も何もありません。
ですから会社としてどう取り組んでいくかを考え、まずは「禁煙」を進めていくことにしました。
具体的には健康宣言をしてから1年間の猶予期間を設け、2019年1月には全社禁煙としました。
今あらためて、禁煙を推奨した理由を振り返ったのですが、「自分の子どもにタバコの煙を吹きかけられるのは嫌だ」と思う気持ちがその根底にあったのかもしれません。
私は家に帰ると3児の父親で、会社でも100人以上の従業員を預かっている父親のような存在といえます。
特に新入社員である18歳の子たちに対して副流煙、呼気煙がかかる行為が許せなくなってきたのだと思います。
2019年4月からは非喫煙者で健康に気を使っている方々に「健康手当」を毎月支給しています。
健康経営優良法人の認定取得もこの流れで、社内で健康意識の高かった木村さんに担当を任せました。
代表取締役 中野隆伸さま
禁煙を進めていくなかで、何か変化は見られましたか?
(中野代表取締役)「健康」が少しずつ社内の共通言語になっていきました。
「この成績がどう、最近どうや?」といった会話で「大丈夫か? 顔色悪いぞ、タバコ少なくしてるか?」と気遣うようになってきたのです。
(木村取締役)社内禁煙を進めていくうえでは、ドクタートラストさんにもサポートいただき勉強会などを開催しました。
(ドクタートラスト保健師 砂川)全体向けの勉強会、それに希望者向けの個別アドバイスを実施させていただきました。
だた、それまでの流れを構築されたのはタイガー石油さまです。
(川上執行役員)アルバイトを募集するときも備考欄に「当社の施設は全館禁煙になっています」と載せれば、会社として健康に気遣っていることのアピールになりますよね。
逆に喫煙者は応募を控えることから、一種のスクリーニングになっていると思います。
ほかには健康経営関連でどういった取り組みをされていますか?
(木村取締役)当社としてできそうなことは、なんでも取り組んでいます。
たとえば健康アプリ導入です。
アプリには、「60日プロジェクト」として、ストレッチやウォーキングなど、数ある選択肢のなかから自分で選んだ運動習慣に取り組んでもらうも機能があり、取り組みが良好な方は表彰しました。
ちゃんと「いいね!」ボタンもあるんですよ(笑)
また、月に2回は砂川保健師に来ていただいて、従業員が直接相談できる機会を設けています。
(ドクタートラスト保健師 砂川)対面以外にも、グループウェアのチャット機能でメッセージを送信させていただいてもいます。
(木村取締役)全社禁煙を始めた年には団体医療保険に加入しました。
会社が加入しているので自己負担はなく、入院や手術時には給付金が支払われます。
このほかには、スポーツジムの法人契約やインフルエンザの予防接種の補助、人間ドッグ補助など、数え上げたらきりがありません。
こうした取り組みの一環でドクタートラストの産業医サービスもご利用いただくことになりましたよね。
(木村取締役)産業医の先生には過重労働面談や就労判断を行っていただいています。
おかげで就労制限もかけられるようになりました。
取締役管理部長 木村盾也さま
従業員の方の多くはガソリンスタンドや整備工場などで働かれていると思いますが、これらの業種は仕事熱心なイメージを持っています。
(川上執行役員)ガソリンスタンドはどうしても労働時間が長くなりがちな傾向がありますね。
そこで2019年12月に給与制度を大きく変更し、労働時間短縮にバイアスがかかるような制度設計、すなわち一定時間までなら残業しても給与が変わらない「みなし残業時間制度」を導入しました。
また、これまでは店舗ごと総労働時間こそ管理はしていたものの、個別の労働時間まではケアが行き届いていませんでした。
そこで労働時間をより細かく管理するようにして、月に2回から3回「このままいくと過重労働になる」など情報を発信するようにしました。
ただ……今度は逆のバイアスがかかり、「残業したら怒られるから」とタイムカードを切ったあとに仕事してしまう人も発生し、そこからは追いかけっこですよね。
労働時間が長くなりがちな店舗には人員配置を厚くしたり、定休日を増やしたり、そういった手を打って、ようやく正直な労働時間報告と過重労働の削減が進むようになってきました。
執行役員 総務部長 川上治時さま
労働時間が長くなりがちなのは、仕事に熱心な方が多いからでしょうか?
(川上執行役員)やはりマインドではないでしょうか。
(木村取締役)そうですね。数年前までは「たくさん働いて、たくさん売上を上げて、人より評価されてきた」世代が中心でした。
残業はいけないと頭でわかっていても、いきなり変えるのは難しかったのですが、健康宣言を行い、残業時間と勤務日数を管理するようになったことで、いっきに変わってきました。
むしろ最近は、「休みに何をしたらいいかわからない」とか「早く帰っても家に居場所はない」といった別の課題を聞くようになりました。
(中野代表取締役)ちょうど私たちの世代は「長い時間働いて、結果を猛烈に出して、お金も稼ぐ」が美徳とされてきた時代でした。
今は職場に長い時間いるよりも、パッと働いてパッと帰るほうがかっこいいという価値観に変わってきていると思います。
今のお話の中に「定休日を増やす」とありましたが、大英断だったのではないでしょうか。
(川上執行役員)当社が展開する事業の一つ、車検工場はたくさんの車検を期日までに終わらせなければならいため、労働時間のコントロールが難しく、また、みんなで朝から最後まで働く習慣のある職人の世界です。
一人だけ先には帰りづらいし、休みもとりづらい。
そこで、これまでは週に1回だった車検工場の定休日を隔週で週2回に増やしました。
定休日はあくまでお店の休みであって「会社としての休業日」ではありませんので、定休日を「有給取得奨励日」にすることで、有給休暇を処理しながら労働時間も削減できました。
職種の習慣を制度で対応したといえるでしょうか。
(中野代表取締役)私たちが若い人たちの立場に立つのは、世代が違うため難しいものの、「心配」、「心配り」の気持ちでケアしているのが、タイガー石油としてうまくいっている要素と思います。
川上さんが「労働時間長いよ、心配」と声をかければ、木村さんは「家ですることがないのでは」と心配りで飲みに誘ったり。
喫煙にしても「やめなさい」と指示・命令であるなら、こっそり吸う人もいるでしょうし、残業時間だって「減らしなさい」だったら、虚偽の報告がなされる可能性があります。
「ほんまに心配なんや」と心から伝えることで、従業員も聞く耳を持ってくれます。
私が禁煙を推進して、木村さんが運動面、それに川上さんが心の健康や労務時間を管理するといったように分業し、それぞれの側面から心配しながら健康経営を進められています。
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取り組みのなかでは健康保険組合も大いに活用されていると聞きました。
(木村取締役)当社は大阪府石油健康保険組合に加入しているのですが、健保にもいろんな割引、保障、制度がありますよね。
これらのお知らせを最近はしっかり案内、活用するようになりました。
(川上執行役員)特徴的なものですと、配偶者専用の検診プランでしょうか。
乳がんや子宮頸がん検診など、法定項目以外の付加検診も割引され、それにホテルのお食事付きのプランで、社内でお知らせするようになって以降、多くの人が申し込んでくれるようになりました。
ただこれは申し込めばすべての企業が利用できるわけではなく、健康経営に積極的な企業にのみ枠をくれるんですよね。
こうしたプランを紹介できるようになったことで、働いている本人だけでなく、ご家族の方の健康にまで配慮できるようになりました。
ありがとうございます。最後に、これからの目標を教えてください。
(木村取締役)今の取り組みを継続させることです。
(中野代表取締役)時代的に少し古いのかもしれませんが、私は従業員の終身雇用を実現させたい、第二の人生も健康で歩んでもらいたいと考えています。
うちで預かっている間に体がボロボロになってご家族のもとにお返しするのではなく、定年を迎えたときには今より健康になっていていただきたいのです。
退職金をしっかり受け取って、引き続きうちで働いてもらってもいいし、第二の人生をご家族と一緒に健康に過ごしてもっらてもいい、これがタイガー石油の願いです。
タイガー石油の皆さまとドクタートラスト保健師の砂川、担当営業の藤原
―― タイガー石油株式会社さま、ありがとうございました!
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