■ 心身のストレス反応について
心身のストレス反応
ストレスによる心身の反応は人によって様々な形で出ますが、精神医学や心理学の世界では大きく分けて、こころ、身体、行動の3つの分野に出ると言われています。
例えば、いつも一緒にランチを食べていた同僚が誘っても来なくなったら、あなたはどう思いますか?
「避けられているのかな?」と思うかもしれません。
しかし、実は同僚は仕事で大きなストレスを抱えており、気分の落ち込み(こころ)から胃痛がして食欲が湧かず(身体)、あまり人と関わりたくない状態(行動)に陥っていたのです。
ストレスチェックでは主にこころと身体のストレス反応として以下の6つの項目を測定しています。
疲労の蓄積解消とストレスへの対処
疲労の蓄積解消とストレスへの対処は、大きく分けて2つの方法があります。
1つ目は、睡眠を中心とした生活習慣を整えることで疲労の蓄積を最小限にし、疲労の回復を最大限に整えること。
2つ目は、「このくらいで弱音を吐けない」「この程度のことを相談してもしょうがない」と思わずに、信頼できる誰かに相談をすること。
人に相談することで気持ちが楽になり、漠然とした問題が明確になることがあります。
心身のストレス反応の項目
以下では、ストレス反応をご紹介します。
・ 活気
・ 身体愁訴
・ イライラ感
・ 疲労感
・ 不安感
・ 抑うつ感
判定結果のうち、特に偏差値の低かった項目はどちらでしたか?
以下よりご自身のストレス要因について詳しく見ていきましょう。
活力や元気があり生き生きしている状態。ワーク・エンゲイジメントと異なり、必ずしも仕事と関連しているわけではない
★保健師からのコメント★
活気がなくなると「遅刻」「早退」「欠勤」が増えたり、仕事の効率や思考力、判断力の低下がみられたりします。
また、服装の乱れや衣服の汚れなど、外見的な違いも出てきます。
この段階は、メンタルヘルス不調の入り口にあたります
十分な睡眠をとり、生活リズムを整えましょう。
さまざまな身体的症状
★保健師からのコメント★
不眠、食欲低下、頭痛や肩こりや腰痛などの体の痛み、めまいや目の疲れなど身体に現れるストレス症状です。
身体のストレス反応はこころの叫びと受け止めて、なるべく休息をとりましょう。
会社には従業員が安全・健康に働くことが出来るように配慮する安全義務があります。
悪化する前に上司に業務配慮の相談をしたり、休養や通院のために休暇を取りましょう。
ものごとが思うようにいかず、腹立たしい状況
★保健師からのコメント★
イライラして、気持ちに余裕がなく、焦っている状態です。
期待外れな状況や、思い通りに動いてくれない周囲の人に対してイライラしたり、うまくできない自分にいら立ちを感じ、焦燥感が他人や自分に向けられます。
イライラ感が怒りや悲しみや自己嫌悪の感情として現れ、それによって攻撃的な言動に発展する場合があります。
イライラは理想と現実のギャップから生じることが多いため、現状を受け入れたり、期待値の調整をすることである程度コントロールが可能です。
疲れている、くたびれている状況
★保健師からのコメント★
疲労感には、良い疲労感(仕事をしていれば誰でも程よく疲れる)と、悪い疲労感(体がこわばる、体が自分のものでない感覚、鉛のように重い)があります。
まずは、睡眠・食事・運動の生活習慣を整えて、こころと身体のリズムを整えてみましょう。
それでも疲労感が抜けない場合は、ストレスに起因している可能性があるため、ストレスの原因を特定して解消したり、積極的に休養のための休暇を取得してみましょう。
気が張りつめている、不安、落ち着かないなど、不安に関する症状
★保健師からのコメント★
不安感は危機を察知して回避したり、事前に備えをするための危険アラームとして、重要な心理的反応です。
しかし、イライラや焦りから不安感が強くなっている、過剰な不安や警戒心があり落ち着かない、といった症状は、メンタルヘルス不調に繋がります。
漠然とした理由の分からない不安感や、必要以上に気が張り詰めた状態が続く場合は、誰かに相談しましょう。
憂うつ感、おっくうさ、集中力の低下など、気分と気力の低下に関する症状
★保健師からのコメント★
抑うつ感は比較的ストレス反応が悪化した状況でみられます。
抑うつ感が強くなると、気分の落ち込み、興味や喜びの喪失(これまで楽しんでいたことが楽しめない)、思考抑制(考えが思い浮かばない、考えがまとまらない)、意欲低下(何をする気も起らない、何もしたくない)、物事を否定的に捉えてしまう、頭にもやがかかったような感じ、などの状態が出現します。
このような場合は視野が狭くなり、一人で問題を抱え込みがちになります。
信頼できる上司や同僚、家族や友人、または専門家に相談しましょう。
あなたのストレスタイプ
ご自身のストレスチェックの結果では、こころとからだのどちらにストレス反応が多く出ましたでしょうか?。
こころの反応が多く出ている方は「こころに出やすいタイプ」、体の反応が多く出ているタイプの方は「からだに出やすいタイプ」、こころと体の両方に同じくらいずつ反応が出ているタイプの方は「こころと体に出やすいタイプ」と診断されています。
ストレス反応の出方は個人差があります。
自分のタイプに対応するアドバイスを見てみましょう。
ストレス反応は、「イライラ」「疲労感」「不安感」「抑うつ感」という順番で出るといわれています。
危険を回避するために、どれも必要な反応ですが、抑うつ感が強い時は注意が必要です。
抑うつ感が強い時は、考えが思い浮かばない、頭の中が整理できない、何かをする気が起きない、何もしたくない物事を否定的に捉えてしまう、といった傾向がみられます。
また、次の①②のどちらかに当てはまる場合は、必ず信頼できる誰かに相談をしましょう。
① 通常なら楽しかったようなことでも、あまり楽しめない
② 憂うつや悲しみのきっかけとなった出来事や要因が解決しても気分が晴れない
ストレスがかかった時に、こころの反応よりも体の反応が先に出るタイプです。
症状として、不眠や過眠、食欲低下や過食気味、またそれに伴う体重増加や減少、腰痛や肩こりなどがあります。
ストレスが原因で身体に不調をきたす場合は、風邪などの身体疾患に起因する不調なのか、メンタルが不調なのかわかりにくいといった感覚があるようです。
身体症状が長引くときは、こころの症状が出ていなくても、心理的な疲労を疑って養生することが大切です。
メンタル不調からくる体の症状は、ストレスや疲労をため込んだ末の叫びです。
長引かせる前に、必ず信頼できる誰かに相談しましょう。
ストレスを受けると、こころの反応も体の反応も出るのは自然なことです。
「元気がなくなる」「身体の症状」「抑うつ感」という順番で出てくることが多いとされています。
最終局面である、抑うつ感に移行させないようにするために、身体の症状が出ている時点で自分自身や周りが気づいて、ストレスを対処することが必要です。
悪化させる前に積極的に休息を取りましょう
また、この時の身体の状況は、体のこわばり、体が自分のものでない感覚、といわれています。
大切なのは、元気なうちからストレスをうまく対処し、ストレス反応を日々自分でモニタリングし、軽めの段階で疲労の蓄積解消を行うことです。