第2章
あなたの結果を理解する
心身のストレス反応
心身のストレス反応とは
ストレスによる心身の反応は人によって様々な形で出ますが、精神医学や心理学の世界では大きく分けて、こころ、身体、行動の3つの分野に出ると言われています。
例えば、いつも一緒にランチを食べていた同僚が誘っても来なくなったら、あなたはどう思いますか?
「避けられているのかな?」と思うかもしれません。
しかし、実は同僚は仕事で大きなストレスを抱えており、気分の落ち込み(こころ)から胃痛がして食欲が湧かず(身体)、あまり人と関わりたくない状態(行動)に陥っていたのです。
ストレスチェックでは主にこころと身体のストレス反応として以下の6つの項目を測定しています。
6つのストレス反応
以下では、ストレス反応をご紹介します。
判定結果のうち、特に偏差値の低かった項目はどちらでしたか?
以下よりご自身のストレス要因について詳しく見ていきましょう。
身体愁訴
さまざまな身体的症状
保健師からのコメント
不眠、食欲低下、頭痛や肩こりや腰痛などの体の痛み、めまいや目の疲れなど身体に現れるストレス症状です。
身体のストレス反応はこころの叫びと受け止めて、なるべく休息をとりましょう。
会社には従業員が安全・健康に働くことが出来るように配慮する安全義務があります。
悪化する前に上司に業務配慮の相談をしたり、休養や通院のために休暇を取りましょう。
イライラ感
ものごとが思うようにいかず、腹立たしい状況
保健師からのコメント
イライラして、気持ちに余裕がなく、焦っている状態です。
期待外れな状況や、思い通りに動いてくれない周囲の人に対してイライラしたり、うまくできない自分にいら立ちを感じ、焦燥感が他人や自分に向けられます。
イライラ感が怒りや悲しみや自己嫌悪の感情として現れ、それによって攻撃的な言動に発展する場合があります。
イライラは理想と現実のギャップから生じることが多いため、現状を受け入れたり、期待値の調整をすることである程度コントロールが可能です。
疲労感
疲れている、くたびれている状況
保健師からのコメント
疲労感には、良い疲労感(仕事をしていれば誰でも程よく疲れる)と、悪い疲労感(体がこわばる、体が自分のものでない感覚、鉛のように重い)があります。
まずは、睡眠・食事・運動の生活習慣を整えて、こころと身体のリズムを整えてみましょう。
それでも疲労感が抜けない場合は、ストレスに起因している可能性があるため、ストレスの原因を特定して解消したり、積極的に休養のための休暇を取得してみましょう。
不安感
気が張りつめている、不安、落ち着かないなど、不安に関する症状
保健師からのコメント
不安感は危機を察知して回避したり、事前に備えをするための危険アラームとして、重要な心理的反応です。
しかし、イライラや焦りから不安感が強くなっている、過剰な不安や警戒心があり落ち着かない、といった症状は、メンタルヘルス不調に繋がります。
漠然とした理由の分からない不安感や、必要以上に気が張り詰めた状態が続く場合は、誰かに相談しましょう。
抑うつ感
憂うつ感、おっくうさ、集中力の低下など、気分と気力の低下に関する症状
保健師からのコメント
抑うつ感は比較的ストレス反応が悪化した状況でみられます。
抑うつ感が強くなると、気分の落ち込み、興味や喜びの喪失(これまで楽しんでいたことが楽しめない)、思考抑制(考えが思い浮かばない、考えがまとまらない)、意欲低下(何をする気も起らない、何もしたくない)、物事を否定的に捉えてしまう、頭にもやがかかったような感じ、などの状態が出現します。
このような場合は視野が狭くなり、一人で問題を抱え込みがちになります。
信頼できる上司や同僚、家族や友人、または専門家に相談しましょう。
あなたのストレスタイプ
ご自身のストレスチェックの結果では、こころとからだのどちらにストレス反応が多く出ましたでしょうか?
こころの反応が多く出ている方は「こころに出やすいタイプ」、体の反応が多く出ているタイプの方は「からだに出やすいタイプ」、こころと体の両方に同じくらいずつ反応が出ているタイプの方は「こころと体に出やすいタイプ」と診断されています。
ストレス反応の出方は個人差があります。
自分のタイプに対応するアドバイスを見てみましょう。
こころに出やすいタイプ
ストレス反応は、「イライラ」「疲労感」「不安感」「抑うつ感」という順番で出るといわれています。
危険を回避するために、どれも必要な反応ですが、抑うつ感が強い時は注意が必要です。
抑うつ感が強い時は、考えが思い浮かばない、頭の中が整理できない、何かをする気が起きない、何もしたくない物事を否定的に捉えてしまう、といった傾向がみられます。
また、次の①②のどちらかに当てはまる場合は、必ず信頼できる誰かに相談をしましょう。
-
通常なら楽しかったようなことでも、あまり楽しめない
-
憂うつや悲しみのきっかけとなった出来事や要因が解決しても気分が晴れない
体に出やすいタイプ
ストレスがかかった時に、こころの反応よりも体の反応が先に出るタイプです。
症状として、不眠や過眠、食欲低下や過食気味、またそれに伴う体重増加や減少、腰痛や肩こりなどがあります。
ストレスが原因で身体に不調をきたす場合は、風邪などの身体疾患に起因する不調なのか、メンタルが不調なのかわかりにくいといった感覚があるようです。
身体症状が長引くときは、こころの症状が出ていなくても、心理的な疲労を疑って養生することが大切です。
メンタル不調からくる体の症状は、ストレスや疲労をため込んだ末の叫びです。
長引かせる前に、必ず信頼できる誰かに相談しましょう。
こころと体に出やすいタイプ
ストレスを受けると、こころの反応も体の反応も出るのは自然なことです。
「元気がなくなる」「身体の症状」「抑うつ感」という順番で出てくることが多いとされています。
最終局面である、抑うつ感に移行させないようにするために、身体の症状が出ている時点で自分自身や周りが気づいて、ストレスを対処することが必要です。
悪化させる前に積極的に休息を取りましょう
また、この時の身体の状況は、体のこわばり、体が自分のものでない感覚、といわれています。
大切なのは、元気なうちからストレスをうまく対処し、ストレス反応を日々自分でモニタリングし、軽めの段階で疲労の蓄積解消を行うことです。
ワーク・エンゲイジメント
ワーク・エンゲイジメントとは
ストレスチェック80問を受検いただいた方はワーク・エンゲイジメントを測定する項目が含まれています。
ワーク・エンゲイジメントとは、心の健康度を示す概念のひとつです。
ワーク・エンゲイジメントが高い状態とは、仕事に対しての「熱意」「没頭」「活力」が揃い、充実している心理状態です。
- 熱意
- 仕事との間に絆を感じ、仕事に集中している。
職場で起こることに関心を持ち、仕事に意義を見出し、誇りをもって仕事に取り組んでいる状態。 - 没頭
- 仕事に引き込まれて熱中している。
やりがいを見出し、業務に関わることに喜びを感じ、時間を忘れるほど業務に入り込んでいる状態(フロー状態)。 - 活力
- エネルギーに満ち、力がみなぎり、活気にあふれていると感じている。
少々のことではへこたれずに自信をもって仕事に取り組んでいる状態。
グラフの見方、説明
グラフの横軸はあなたのストレスレベル(総合判定:A~E)を表しています。
★が右にあるほどストレス状態は良く、左にあるほどストレス状態が悪いとお考えください。
縦軸には、あなたのワーク・エンゲイジメントを表しており、★が上にあるほどワーク・エンゲイジメントが高い状態です。
4つのゾーン
- ★いきいきゾーン
- ストレスレベルが良好で、働きがいを感じながら日々、いきいきと仕事に取り組んでいます。
すばらしい活躍をしていることでしょう。
一人ひとりが、自分自身の仕事に対する社会的意義(パーパス)を持つことが、所属企業の成長につながっていくといわれています。
自分の本質的な働き甲斐について再度振り返り、さらなる活躍につなげましょう。 - ★ギリギリゾーン
- 仕事への情熱をもち、働き甲斐を追求し、少しくらいの疲労は気合で乗り切ろうとするタイプです。
何事にもマニュアル的な対応をせず、ひたむきに他人と深くかかわろうとする人ではありませんか?
無意識のうちに疲労をためてしまう傾向があります。
「疲労感のない疲労」を見逃さず、動いている時間ではなく、休息時間のマネジメント能力(睡眠管理)を高め、ストレスマネジメントを効率よく行うことで、いきいきレベルの移行を目指しましょう。 - ★ゆるゆるゾーン
- ストレスは一概に悪いものとは言い切ることはできません。
場合によっては良い刺激にもなります。
現在のあなたは、仕事への情熱やストイックさが低下している状況かもしれません。
今一度、仕事や業務の意義や目的を捉えなおしたり、俯瞰してみることをおすすめいたします。
また、新しいスキル獲得や異業種交流などを通して、熱意が醸成されるようなきっかけづくりをしてみましょう。 - ★げんなりゾーン
- 現在のあなたは、これまで頑張り続けたことによって、疲労が蓄積されているかもしれません。
または、過酷な職場環境のなかで、日々過ごしているのでしょうか?
帰宅後は、疲れ果ててぐったりしているのではないかと心配です。
頑張ってもどうにもならない環境で力を尽くしてきて疲れてしまっていませんか?
まずは、枯渇状態から回復するためにアクティブレストとして積極的に有休を取得したり、信頼できる人に相談してみませんか。
こころのエネルギーが充電されたら、仕事へのエンゲイジメントを高めていきましょう。
ワーク・エンゲイジメントを高めるコツはこちらのサイトでチェックできます。ぜひご覧ください。
職場環境満足度
職場環境満足度とは
ストレスチェックの設問では、職場の状況を以下の22の要素にわけて、それぞれの充足度を調べています。
各要素は、ストレス反応に関係する仕事の要素といわれているものです。
どのような要素があったか見てみましょう!
22の職場環境要素
情緒的不安
仕事上、気持ちや感情がかき乱される感情面での負担
役割葛藤
複数方針や要求のはざまに置かれ、業務遂行困難による負担
役割明確さ
仕事で果たすべき役割への明確な理解
成長の機会
仕事で知識や技術の獲得や自己成長の機会
経済・地位報酬
仕事上の努力や達成度に対する適切な金銭的処遇
尊重報酬
上司から受ける、職務達成度にふさわしい評価
安定報酬
仕事の不安定さ、将来への見込み、失職の可能性
上司のリーダーシップ
上司が、職務進捗確認を行い、部下の能力発揮を助けていること
上司の公正な態度
上司が、偏見や独りよがりなく部下に誠実に対応すること
ほめてもらえる職場
業務結果に対してねぎらいや感謝の言葉が職場に響いていること
失敗を認める職場
失敗しても挽回の機会や雰囲気が職場にあること
経営層との信頼関係
経営層と従業員の間に相互に信頼関係があること
変化への対応
職場や仕事で変化がある際の説明や準備ができていること
個人の尊重
長所や得意分野、価値観を考えて仕事が与えられていること
公正な人事評価
人事評価の方針、基準が提供され結果について説明があること
多様な労働者への対応
女性、高齢者、若年者、雇用形態にかかわらず尊重されること
キャリア形成
人事方針や目標が明確にされ、教育・訓練の提供があること
ワーク・セルフ・バランス(ネガティブ)
仕事の負担が個人生活に対し、よくない影響を及ぼしていること
ワーク・セルフ・バランス(ポジティブ)
仕事から得たことが、個人生活の豊かさにつながっていること
職場のハラスメント
職場でいじめ、嫌がらせ、ハラスメントがあるかどうか
職場の一体感(ソーシャル・キャピタル)
職場メンバー同士が情報共有や相互理解をしている
ワーク・エンゲイジメント
仕事から活力を得て誇りを感じいきいきと仕事をしている
ストレスチェック結果との関係
図の見方、説明
図は、職場の状況要素について、総合的な充足度を表しています。
※この結果はストレスチェックを受検した時点のものです。
- 25%以上50%未満の方
- 職場の状況について、非常に満足していない。
- 50%以上70%未満の方
- 職場の状況について、あまり満足していない。
- 70%以上の方
- 職場の状況について、満足している。
活気
活力や元気があり生き生きしている状態。ワーク・エンゲイジメントと異なり、必ずしも仕事と関連しているわけではない
保健師からのコメント
活気がなくなると「遅刻」「早退」「欠勤」が増えたり、仕事の効率や思考力、判断力の低下がみられたりします。
また、服装の乱れや衣服の汚れなど、外見的な違いも出てきます。
この段階は、メンタルヘルス不調の入り口にあたります
十分な睡眠をとり、生活リズムを整えましょう。