■ 仕事のストレス要因について
仕事のストレス要因
ストレスチェックの設問では、仕事のストレス要因を9つの尺度から調べています。
職場環境改善に取り組むためには、それぞれの尺度を集団や組織単位で分析した上で、改善計画を立てることが大切です。
また、同時に個々人が改善に向けて取り組むことも求められます。
ここでは個人で改善可能な取り組みをご紹介します。
仕事のストレス要因の項目
仕事のストレス反応は、以下の9つの尺度で構成されています。
・ 心理的な仕事の負担(量)
・ 心理的な仕事の負担(質)
・ 自覚的な身体的負担度
・ 職場の対人関係でのストレス
・ 職場環境によるストレス
・ 仕事のコントロール度
・ あなたの技能の活用度
・ あなたが感じている仕事の適応度
・ 働きがい
ご自分の個人結果で偏差値の低かった項目はどちらでしたか?
以下よりご自身のストレス要因について詳しく見ていきましょう。
仕事量が多いことによる業務負担
★保健師からのコメント★
仕事量は、なかなか減らそうとしても、減らないものですよね。
まずは、自分の仕事量を見直し、上司や同僚と相談することをお勧めします。
また、相談に際してはあらかじめ、自分が何の仕事にどのくらい時間を使ったかを記録する、仕事時間の「見える化」をやってみましょう。
一時期流行ったレコーディングダイエットの仕事版と考えていただくとわかりやすいかと思います。
詳しくはこちらをご覧ください。
注意力や集中力の程度、知識、技術の高さなど、質的な業務負担
★保健師からのコメント★
オンオフの切り替えをうまく行いましょう。
切り替えのコツとして、「ここに来たら仕事のことは考えない」と場所で区切る、あるいは、数か月先にあらかじめオフの予定を入れてしまう、などがあります。
仕事のことが頭から離れず、不安が多いほど眠りは浅くなり、上手な休息ができないといわれています。
また、切り替えが苦手な方のなかには、休息をあまり重要視していない方も多いように見受けられます。
仕事の質を確保するためにも休息は大切にしましょう。
肉体労働が多いなど、身体的な業務負担
★保健師からのコメント★
肉体労働が多いほど、ストレスは高くなりがちです。
しかし、休息を適切に取り、疲労をその日のうちに解消できている方はストレスとして現れにくいでしょう。
仕事や活動によって生じた心身の疲労を回復し、元の活力ある状態に戻す唯一の方法は「睡眠」です。
まず「睡眠時間」の確保に努めましょう。
また、単に横になるだけではなく、寝具や照明などの環境を整えて、しっかり深く眠るようにしましょう。
部署内での意見の相違、あるいは部署同士の対立など対人関係に関する負担
★保健師からのコメント★
人にはそれぞれ感情があるため、相手をこちらの思い通りには動かすことはなかなか困難です。
しかし一方で、自分の考え方、感情、行動であれば、変える努力はできます。
自分を変える方法の一つとして、おすすめするのが、EQを高めていくことです。
EQとは、Emotional Intelligence Quotientのことで、一般的に「こころの知能指数」といわれています。
EQは「自分自身と他人の気持ちや情動をモニターし、見分け、その情報を使って自分の思考や行動を導く能力」とされており、意見の食い違いなどは、EQを高めることで対処できます。
EQを高めるコツは、自分と相手の感情を知ること、表面上発している言葉と感情はまったく違うものだと認識することです。
EQにつて、詳細はこちらをご覧ください。
騒音、照明、温度、換気などの物理的な環境に起因する負担
★保健師からのコメント★
たとえばオフィスや作業現場の温度や湿度に問題があるとします。
そんな時はまず、自分で温度計や湿度計で計測し、結果を衛生管理者へ報告してみることをおすすめします。
仕事の場所や形態によって、リスクはさまざまですが、客観的指標を提示することで、リスクの程度を明らかにしたり、職場環境改善案について具体的に提案したりすることができます。
温度や湿度、照度を計測するために何か高価な機器を導入する必要はありません。
スマホがあれば簡単に測定できます。
こちらのPDFもぜひご参照ください。
業務量が多く、裁量度が低いことで生じる負担
★保健師からのコメント★
裁量度は、「どれくらい自分に仕事を任せてもらえるか」と言い換えることができます。
仕事において、自らの考えや思い、アイデアなどが反映できる、あるいは自分の判断で進められることは、存在意義につながり、ひいては自己効力感が生まれます。
あらかじめルールが決められていたり、上司の指示通りにしなくてはならなかったりと、裁量の余地があまりない業務もありますが、そんなときでも、同僚と協力して業務改善案を提案したり、権限の範囲を広げてもらえるよう上司に交渉するなど、地道な改善や工夫は可能です。
また、裁量の度合いとともに「裁量の範囲の明確化」も重要です。
不明確な場合は、上司に確認し、文書化するなどして明らかにしましょう。
自分の持っている技術や知識、資格などが活用されていること
★保健師からのコメント★
もし、自分の技術や知識を活用する機会を今より持ちたいと考えている場合は、それを生かせるよう上司に提案したり、業務転換・部署異動を試みるチャンスかもしれません。
また、それと同時に、時代のニーズで求められるスキルを見極め、習得していくことも求められます。
まずは、今まで培ってきたスキルや資格のブラッシュアップを行ってみませんか?
あわせてさらなる学びやトレーニングに率先して取り組むことをお勧めします。
業種によっては、専門分野の技能のみならず、他分野とのコラボにより、新しいものが生まれることがあります。
自身の業務範囲外の技能にも積極的に関心を持ってみることで新たな世界が広がり、キャリアアップに繋がるかもしれません。
仕事の内容が自分に合っていること
★保健師からのコメント★
携わっている仕事について、自分に合わないと思ったとき、「お金のためにしょうがなく」「仕事だから仕方ない」と考えるようになっていませんか。
そんな時は仕事への関心が低くなりと、少しのストレスでも辛くなってしまいがちです。
そんな状況を打破する方法として、今一度、自分の仕事を客観視してみるのがよいかもしれません。
例えば、「今の仕事は世の中でどのように役立っているか」「この仕事の意味は何だろう」などと、別の視点で捉えなおしてみると、意外と自分に合っている面も見えてくることがあります。
また、改めてより自分に合った仕事がないかを探したり、自ら提案して創っていくよう行動に移してみましょう。
仕事の意義が認識でき、働きがいを感じていること
★保健師からのコメント★
あなたはどのような仕事に働きがいを感じますか?
達成感がある、新しいことに挑戦できる、信頼して仕事を任せてもらえる、同僚とチームワークで取り組める、上司から高く評価される、お客様から感謝される、結果が形になる、自己成長ができる、パフォーマンスに見合った報酬がもらえる……
人それぞれに働きがいの価値観があるかと思います。
まずは自分がどんなことに働きがいを感じられるか、働きがいを求めるかを知ることが第一歩かと思います。
そして現状とのギャップを埋めるために自分でできることを具体化して取り組んでみませんか。
「どうせ無理だし」「自分だけががんばっても何も変わらない…」という気持ちが湧いてくるかもしれませんが、それを一旦脇に置いてみましょう。
一人でできないことはたくさんありますが、諦めない気持ちや、挑戦する力、できないことを仲間と協力してできることに変えていくプロセスは人を成長させ、その成長の実感も働き甲斐を生み出すといわれています。
まずはできることから始めてみませんか。