常時使用する労働者が、50人以上の事業場(ビル単位)では、「衛生管理者」を下表の人数のとおり選任の上、14日以内に所轄の労基署に選任届を提出しなければなりません(労働安全衛生法12条)。
衛生管理者を選任していない場合、産業医を選任していない場合と同様に、50万円以下の罰金に処せられます
(労働安全衛生法120条)。
労働安全衛生法に規定された、労働条件、労働環境の衛生的改善と疾病の予防・処置等を担当し、事業場の衛生全般の管理をする管理者のことをいいます。
現在、個人情報保護法の関係で、会社(人事総務)の方が、社員等の「健康診断の結果表」を本人の承諾無く、勝手に見ることはできなくなっています。
しかしながら、
労働安全衛生法では、健康診断の結果、異常所見がある者は、医師(産業医)の意見を聞き、必要に応じて就業制限を行うなどの措置をとらなければならないことになっています。
では、一体誰が健康診断の結果(個人情報)を見たり管理したりすることができるのでしょう。
50人以上の事業場では、「衛生管理者」が、この要職に就くことが、最も一般的です。
「衛生管理者」は、社員の健康情報(個人情報)に触れるために、医療・労働法という広範囲の知識を習得し、免許試験に合格しているひつようがあります。
「衛生管理者」は、
積極的に健康の保持増進の措置、健康障害・労災の防止などに努めなければなりません。
なお、10人以上50人未満の事業場では、「衛生推進者」(
大卒1年、高卒3年、その他5年以上の労働衛生の実務経験
のある方で、会社がその職を命じた方がなることができます)を任命し、その職を行わせなければなりません。
※選任基準(
労働安全衛生規則7条)
事業場の常時使用労働者数 | 衛生管理者数 |
---|---|
50人以上 | 1人以上 |
201人以上 | 2人以上 |
501人以上 | 3人以上 |
1,001人以上 | 4人以上 |
2,001人以上 | 5人以上 |
3,001人以上 | 6人以上 |
衛生管理者は、下記の業務のうち衛生のために必要な技術的事項の管理をしなければなりません。
また、少なくとも
毎週1回作業場等を巡視し
、設備、作業方法または衛生状態に有害の恐れがある時は、ただちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。
→点検項目などを会社ごとに定めて「巡視日誌」などを記録しましょう!
<法令業務>
■労働者の危険又は健康障害を防止する措置。
■労働者の安全衛生のための教育の実施。
■健康診断の実施とその他健康の保持増進のための措置。
■労働災害の原因調査と再発防止対策に関すること。
■火災・爆発等に備え、労働者の救護に関する必要な措置。
■労働者の負傷・疾病それによる死亡、欠勤・異動に係る統計の作成(S47基発602号通達)。
① 人事・総務部内で、労務・給与管理、採用などの仕事をされている方で、
② 気軽に相談ができ、
③ 社員から信頼の厚い中堅の社員が最適です。
多くの会社では、
「誰に対しても公平な態度で接することができる人事部内の社員」を選んだことで、うまくいっているケースが多いかと思います。
多くの会社では、人事や総務の中から2、3人の方を選んで受験するよう勧奨しています。
人事・総務の有望資格として、人気が高く、メンタル対応の経験を重視する企業が増えています。
<法律上の制限>
事業場に専属でなければいけません。他の事業場との兼務はできません(労働安全衛生規則7条)。
① 資格があるだけで、当該業務が実質できない他部署の方
意外と多いパターンですが、名義のみの登録であることが大半で、処罰の対象になります。
② 人事部長や人事課長など人事権を持っている方
産業医面談の日程調整と、面談日当日は、産業医に各種報告書を渡したり、面談の順番を調整したりと大忙しになります。また、人事権のある役職者が、うつ病で休職すべきか悩んでいる社員の相談相手になること自体が問題です。降格などが恐ろしくて気軽に相談が出来ません。
③ 派遣社員・パートなど正社員以外の方
社員の信頼を得るまで相当な時間がかかります。また、正社員以外の人が重要な会社の秘密(健康情報等)を握ることになり、不安が残ります。
④ 健康相談窓口としての役割が果たせない方。社員からの人望がない方。口が軽い方。
<衛生管理者は、免許の取得(国家資格)が必要です>
衛生管理者免許には、業務の範囲が広い順に、
①衛生工学衛生管理者
②第1種衛生管理者
③第2種衛生管理者 の3種類があります。
第1種衛生管理者は、
全業種で選任可能ですが、
第2種衛生管理者は、以下の業種を除く
その他の業種で選任が可能です。
(第2種衛生管理者免許では対応できない業種)
農林畜産水産業、鉱業、建設業、製造加工業、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療、清掃業
1 大学(短期大学を含む)又は高等専門学校を卒業し、1年以上労働衛生の実務に従事した者
2 高等学校または中等教育学校を卒業し、3年以上労働衛生の実務に従事した者
3 10年以上労働衛生の実務に従事した者
このうち、労働衛生の実務の確認として、事業者証明書が必要です (転職歴がある場合、以前勤めていた会社に頼む必要があります) 。
※ 試験会場:全国7ヶ所の
安全衛生技術センター
で行なわれます。
最近は受験者数が急増したため、試験の申込は、全国どこも順番待ちの状態で、1~3ヶ月程度待たされますので、早めに受験日を決めるようにしてください。
試験会場は、基本的に遠いところにありますので、前日の宿泊先を確保するなどの準備も必要です。 合格後の免許申請は、東京労働局労働局長に対して行います。
勤務先の業種にも拠りますが、1種免許の取得は、勉強する範囲が広く、難しいため、まずは2種に合格することを目指しましょう。 試験勉強は、最低でも1ヶ月程度必要です。
合格率としては、1回目の試験では30%程度、2回目で70%くらいといわれています。
過去に出題された問題を数年分、参考書などで解いておくことが、合格への近道です。
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