産業医の職務と権限について

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産業医の職務と権限

産業医の職務は、労働安全衛生規則14条1項に9項目が定められています。産業医には、事業者への勧告権などの権限があり、事業者は、勧告を尊重し、必要な情報を提供しなければなりません。このページでは、これらを条文に沿って解説します。

産業医の職務とは?法律で定められた9つの業務

産業医の職務(労働安全衛生規則14条)

次の事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする。
・ 健康診断の実施、およびその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
・ 面接指導および必要な措置の実施、ならびにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
・  心理的な負担の程度を把握するための検査、面接指導、およびその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
・  作業環境の維持管理に関すること。
・  作業の管理に関すること。
・  上記のほか、労働者の健康管理に関すること。
・  健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
・  衛生教育に関すること。
・  労働者の健康障害の原因の調査および再発防止のための措置に関すること。

面接指導の実施

休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働した時間が1か月あたり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対しては、事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません(労働安全衛生法66条の8、労働安全衛生規則52条の2)。ただし、面接指導を受けたばかりの方など、医師が受ける必要がないと認めた場合は除きます。
会社のリスクマネジメントとしては、なるべく前広に対象者が抽出されるように、社内ルールを決めましょう(詳しくはこちら)。面接指導の対象でなくても、健康への配慮が必要な労働者には、必要な措置を講ずる努力義務があります(労働安全衛生法66条の9)。
健康上問題がない元気な社員からは、「忙しいのに時間の無駄だ」といった反応があります。
しかし、面談を通じて、本人が気づいていない不調が見つかり、医師(産業医)の意見を踏まえて、就業場所の変更や労働時間の短縮などの措置が必要となることもあります。
健康上の不安がないと言っている方についても3~5分程度の時間でも構いませんので、当人からの申出待ちをせずに、積極的に産業医面接を受けさせてください。
疲労蓄積度チェックリストなどを活用することで、良い効果(残業時間短縮、健康改善)が期待できます。

産業医の権限

産業医の勧告権(労働安全衛生法13条5項)

・ 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。
・ 事業者は、上記勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない。

産業医の勧告の手続き(労働安全衛生法13条6項、労働安全衛生規則14条の3)

・ 産業医は、勧告をしようとするときは、あらかじめ、勧告の内容について、事業者の意見を求めるものとする。
・ 事業者は、勧告を受けたときは、勧告の内容と、勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合は、その旨とその理由)を記録し、3年間保存しなければならない。
・ 事業者は、勧告を受けた後、遅滞なく、勧告の内容と、勧告を踏まえて講じた(または講じようとする)措置の内容(措置を講じない場合は、その旨とその理由)を、衛生委員会または安全衛生委員会に報告しなければならない。

産業医の指導・助言権(労働安全衛生規則14条3項、4項)

・ 産業医は、上記職務に関し、総括安全衛生管理者に対して勧告、または衛生管理者に対して指導・助言することができる。
・ 事業者は、産業医が勧告、指導もしくは助言をしたことを理由として、産業医が解任その他不利益な取扱いを受けないようにしなければならない。

産業医の定期巡視(労働安全衛生規則15条)

・ 産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
・ ただし、産業医が事業者から毎月1回以上、所定の情報(衛生管理者による巡視の結果など)の提供を受けており、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2月に1回とすることができる。

産業医に対する権限の付与(労働安全衛生規則14条の4)

・ 事業者は、産業医に対し、上記の職務をなし得る権限を与えなければならない。
・ この権限には、次の事項に関する権限が含まれる。
  (1)事業者または総括安全衛生管理者に対して意見を述べること。
  (2)職務を実施するために必要な情報を労働者から収集すること。
  (3)労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合に、労働者に対して必要な措置をとるべきことを指示すること。

事業者から産業医への情報提供(労働安全衛生法13条4項、労働安全衛生規則14条の2)

・ 事業者は、産業医に対し、労働者の労働時間に関する情報その他、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならない。
・ 提供する情報は、次のとおりとする。
  (1)健康診断や面接指導(ストレスチェックの面接指導を含む)の結果に基づき、既に講じた措置または講じようとする措置の内容に関する情報(措置を講じない場合は、その旨とその理由)
  (2)1か月あたりの超過時間(規則52条の2第1項などで定める「超えた時間」)が80時間を超えた労働者の氏名と、その超過時間に関する情報
  (3)上記のほか、労働者の業務に関する情報で、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの
・ 情報の提供は、次の時期に行う。
  (1)の情報:医師または歯科医師からの意見聴取を行った後、遅滞なく
  (2)の情報:超過時間の算定を行った後、速やかに
  (3)の情報:産業医から求められた後、速やかに

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嘱託産業医の訪問時に確認したいこと

月1回訪問の嘱託産業医が、限られた時間の中で、社員の健康の維持増進のために優先すべきことは、 できるかぎり多くの社員と面談をすることだと思います。
その際には、必ず面接指導結果報告書(別名:産業医カルテ)の記録を会社に残すことをお忘れなく!

毎月1回の職場巡視

工場などと異なり、一般事務所の場合は、点検しなければならない項目は少ないものです。
事務所衛生基準規則などの法律を参考に、「職場巡視チェックリスト」をあらかじめ作成し、衛生管理者と一緒に職場巡視を実施し、チェック項目の良否判定と改善状況などを確認しましょう。
ポイントは、「巡視した記録」(職場巡視チェックリスト)を残すことです。

【ドクタートラスト・オリジナル職場巡視チェックリスト】

本チェックリストは、デスクワーク中心の企業様向けのものです。
<特 長>
・ 点検項目が具体的でわかりやすい(例:×通路幅が充分である→○通路幅が80cm以上である)
・ 判定が1~3点の3段階方式となっており、誰でも採点できる
・ 合計得点の増減により、職場の環境改善が進んでいるか判断しやすい

職場巡視チェックリスト(PDF)

職場巡視チェックリスト(excel)

ご不明な点はお問合わせフォームからご連絡ください。

産業医の職務と権限についてのよくある質問

産業医の職務は何ですか?

労働安全衛生規則14条1項に定められた9項目です。健康診断の実施と結果に基づく措置、面接指導と必要な措置の実施と結果に基づく措置、ストレスチェックと面接指導の実施と結果に基づく措置、作業環境の維持管理、作業の管理、そのほかの労働者の健康管理、健康教育や健康相談など健康の保持増進のための措置、衛生教育、労働者の健康障害の原因の調査と再発防止のための措置です。いずれも、医学に関する専門的知識を必要とするものとされています。

産業医の勧告権とは何ですか?

産業医が、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときに、事業者に対して、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる権限です(労働安全衛生法13条5項)。事業者は、勧告を尊重しなければなりません。産業医は、勧告をしようとするときは、あらかじめ、勧告の内容について事業者の意見を求めるものとされています。

産業医の勧告について、事業者にはどのような義務がありますか?

事業者は、勧告を尊重しなければなりません。このほか、勧告を受けたときは、勧告の内容と講じた措置の内容を記録して3年間保存し、遅滞なく衛生委員会または安全衛生委員会に報告する必要があります。また、産業医が勧告、指導もしくは助言をしたことを理由として、産業医が解任その他不利益な取扱いを受けないようにしなければなりません。

産業医は、どのくらいの頻度で職場を巡視しますか?

少なくとも毎月1回、作業場等を巡視します(労働安全衛生規則15条)。ただし、産業医が事業者から毎月1回以上、所定の情報の提供を受けており、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2月に1回とすることができます。

事業者は、産業医にどのような情報を提供する必要がありますか?

労働者の労働時間に関する情報その他、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければなりません(労働安全衛生法13条4項)。具体的には、健康診断や面接指導の結果に基づいて講じた(または講じようとする)措置の内容、1か月あたりの超過時間が80時間を超えた労働者の氏名とその超過時間に関する情報、そのほか産業医が必要と認める労働者の業務に関する情報です。

医師による面接指導は、どのような労働者が対象ですか?

休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働した時間が1か月あたり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者です(労働安全衛生規則52条の2)。ただし、面接指導を受けたばかりの方など、医師が受ける必要がないと認めた場合は除きます。

参照した法令

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