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産業医女性

産業医とは

(最終更新日:2024年6月27日)

産業医とは、医学に関する専門的な立場から、 職場で労働者の健康管理等を行う医師のことをいいます。

事業者は事業場の規模(後述)に応じて産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければなりません。

「会社に産業医が来ているけれども、そもそも産業医って誰?何をする人なの?」

「病院やクリニックにいる医師とは何が違うの?」

さまざまな産業医にまつわる疑問をこのページで分かりやすく解説します。


産業医は働く人たちの健康を守ります

登録産業医のメッセージ

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産業医の要件

産業医になるためには、医師免許を有した医師であることに加えて、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければなりません。(労働安全衛生法第13条第2項)
具体的には、以下のとおりに規定されています。(労働安全衛生規則第14条第2項)

  • ① 労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣の指定する法人が行うものを修了した者
  • ② 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であって、その大学が行う実習を履修したもの
  • ③ 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
  • ④ 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授または講師(常時勤務する者に限る)の職にあり、またはあった者
  • ⑤ このほか、厚生労働大臣が定める者

<参照元>
・ e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
・ e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
産業医の要件
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産業医と通常の医師の違い

主治医=診断・治療をする医師です。産業医=診断・治療は行わず、働けるか働けないかを判定する医師です。
患者が復職したいと言った際、主治医は、職場や業務のことがわからないために、日常生活が送れるレベルで「復職可」の診断を出すことがありますが、 「本当の意味で復職可(会社の求めるパフォーマンスで仕事ができる状態)」なのかどうか、そのギャップを見極めるのが産業医の役割です。

  産業医 通常の医師
活動場所 企業内 医療施設(病院・クリニックなど)
契約者 事業主との業務契約 患者との治療契約
対象者 健康な人・心身の状態がすぐれない人 病人
仕事内容 ・就業環境や健康全般に対する指導やアドバイス
・就労制限や就労可能かなどの判断
※治療は行わない
(治療が必要な場合は医療施設を紹介)
・検査(病気の有無を調べる)
・治療(病気を直す)
事業主(会社側)に対する勧告権 勧告権あり 勧告権なし

産業医と医師の違い
産業医と医師の違い

産業医をめぐる状況

国内の医師の状況

厚生労働省「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、令和4年12月31日現在で、全国の届出「医師数」は343,275人います。
そのうち、男性は262,136人(全体の76.4%)、女性は81,139人(同23.6%)です。
また、診療科別にみると、医療施設に従事する医師(327,444人)のうち、「精神科」「心療内科」といったメンタルヘルス系の医師は17,680人で、全体の約5.4%です。


国内の医師の状況
国内の医師の状況


<参照元>
・ 厚生労働省「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」

年次推移(2016年〜2022年)

全国の医師数の年次推移

医療施設に従事する医師数の年次推移
全国の医師数の年次推移

医療施設に従事する医師数の年次推移

産業医の状況

日本医師会の発表によると現在、産業医資格を有している医師数は10万人を超えています(平成31年2月20日付)。
また、新たに産業医の資格を取得した医師数の推移は以下の通りです。

  研修
(日本医師会)
研修
(産業医科大学)
産業医科大学卒業生
(産業医科大学)
平成24年度 1,662人 901人 94人
平成25年度 1,687人 630人 92人
平成26年度 1,691人 1,017人 98人
平成27年度 1,708人 996人 108人
平成28年度 2,004人 1,175人 99人
国内の産業医の状況
国内の産業医の状況

<参照元>
・ 厚生労働省「現行の産業医制度の概要等(PDF)」
・ 公益社団法人日本医師会「「日医認定産業医」が10万人を突破」(日医on-line、2019年2月20日付)
・ 国土交通省海事局「船員向け産業医の役割について(PDF)」
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産業医の仕事内容、業務について

産業医の仕事内容、業務について

産業医の職務は、労働安全衛生規則第14条第1項で次のとおり定められています。

  • ① 健康診断の実施、および結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
  • ② 面接指導、必要な措置の実施、結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
  • ③ 心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施、面接指導の実施、結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
  • ④ 作業環境の維持管理に関すること。
  • ⑤ 作業の管理に関すること
  • ⑥ 労働者の健康管理に関すること。
  • ⑦ 健康教育、健康相談、その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
  • ⑧ 衛生教育に関すること
  • ⑨ 労働者の健康障害の原因の調査および再発防止のための措置に関すること

以下では、上記法定要件に基づいた産業医の具体的な業務内容をご説明します。

毎月1回必ず職場を巡視し、職場環境の改善・維持へのアドバイスを行う

職場巡視

職場の巡視

労働安全衛生規則第15条では職場巡視について次のように定められています。

産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

上記のように産業医は、危険な箇所はないか、衛生面・作業環境に問題はないかを毎月チェックします。

主に点をチェックしていきます。

【オフィス環境】
・ 室内照明、作業環境の照度
・ 温湿度管理、換気、空調
・ 作業空間や作業環境、通路幅、VDT作業環境
・ コンセントなど電気用具の管理
・ 整理整頓、備品の管理、ごみの分別
・ トイレ、給湯室、冷蔵庫内の衛生管理

【防災・安全】
・ 非常口、非常経路
・ 消火器
・ キャビネットなどの設置状況
・ 救急用具、防災備品の管理

【受動喫煙対策】
・ 分煙の状況

【安全衛生】
・ 安全衛生に向けての取り組み

※ 衛生管理者は、週1回の巡視が義務づけられています。

※ 2017年3月29日公布、同年6月1日施行の改正労働安全衛生規則15条などにより、産業医による職場巡視の頻度を毎月1回以上から2ヶ月に1回以上にすることも可能となりました。 しかし職場巡視の頻度変更には事業者から産業医に所定の情報が毎月提供されることや、事業者の同意が必要など必要な条件があります。詳しくは 「事業者・産業医の皆様へ 産業医制度に係る見直しについて(PDF)」(厚生労働省)をご確認ください。


社員の健康診断後のチェックとフォロー

健康診断結果の診断

健康診断の重要性

労働安全衛生法第66条の4では健康診断後の事後措置について次のように定められています。

事業者は、健康診断の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師または歯科医師の意見を聴かなければならない。

上記に基づいて、事業主は健康診断の結果で異常所見があると診断された労働者については産業医との面談を実施したり、必要に応じて産業医の意見をもとに就業上の措置をとらなければなりません。

例えば・・・
  • 療養のため、休暇、休職
  • 就業場所の変更
  • 作業の転換
  • 労働時間の短縮
  • 深夜業の回数の減少 など

産業医はこれら判定を行い「意見書」に記入します。

従業員の保健指導

従業員の保健指導

過重労働者との面談

長時間労働と脳・心臓疾患の発症には深い結びつきがあるとわかっている今、長い時間にわたる労働で疲労の蓄積が認められる労働者に対し、医師の面接の実施が義務づけられています。

例えば・・・

産業医は、過重労働者面談だけではなく、状況に応じてさまざまな面談を実施します。

  • 過重労働者面談
  • 有所見者面談
  • メンタル相談
  • 休職/復職判定 など

安全衛生委員会

安全衛生委員会

安全衛生員会とは?

常時雇用している労働者数が50名を増えた事業場では、衛生委員会を開催しなければなりません。
また、業種と雇用人数によっては安全委員会も開催する必要があります。この場合は、衛生委員会と安全委員会を合わせて「安全衛生委員会」を開催することが多いです。
委員は、事業主と労働者側の人数が同数か労働者の人数が多いメンバーで構成します。
また、産業医の出席が望ましいとされています。
企業によって変わりますが、しっかり30分~1時間実施する企業もあれば、10分~20分と手短に済ませてしまう企業もある衛生委員会。
特に話されている内容としては、長時間労働の部署ごとの報告や支店などの労災の報告、産業医からの講話などが多くあります。
その他、事業主や労働者側からの提案で、テーマが決定されることが多いです。

例えば・・・
  • 労働者側からの提案 → 「救護室が欲しい、休憩室や給湯室の充実」
  • 事業主から提案 → 「ノー残業デー」 など
  • 産業医からの講話

ドクタートラストでは、毎月の衛生委員会の議題や資料を独自に保健師が作成し、無料でご提供しています。
どなたでもご利用いただけますので、ご希望の方は、以下よりお申し込みくださいませ。
【ドクタートラストメールマガジンについて】



<参照元>
・ 厚生労働省「産業医について」
・ 独立行政法人労働者健康安全機構「産業保健21」各号
・ 独立行政法人労働者健康安全機構「中小事業者の為に産業医ができること(PDF)」
・ 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳「職場巡視」

産業医を選任しなければならない事業場の基準

産業医の選任基準

▼50名以上の労働者を雇用している事業場

産業医に、毎月1回以上、事業場を訪問してもらい、労働者の健康管理指導の実施が必要です。(労働安全衛生法第13条ほか)

 

▼月80~100時間超の残業をした労働者がいる事業場

平成20年から、すべての事業場(50名未満も含む)で、労働者の疲労蓄積の程度を把握し、本人の申し出により医師の面談を実施し、その結果の記録を5年間保管する義務が課せられています。(労働安全衛生法第66条ほか)

産業医の訪問実績は、健康指導などを行った「面接指導結果報告書」などの面談記録を保管しているかどうかを労基署の立ち入り検査で調査されます。

選任する産業医の数は?

労働者が多くなるほど産業医の業務量も増えていきます。
それに伴い、労働者数によって、選任する産業医数や「専属産業医」か「嘱託産業医」か定められます。

業 種 従業員の人数
産業医の人数 専属の産業医の選任が必要な事業場
全ての業種 50人未満 産業医の選任義務はなし
50~499人 1人(嘱託) 該当なし
500人~999人 1人 ※1の①参照
1,000人~3,000人 1人(専属) ※1の②参照
3,001人以上 2人(専属) ※1の③参照
50人未満…産業医選任義務なし
50~499人…1人(嘱託)
500人~999人…1人※①参照
1000人~3000人…1人(専属)※②参照
3001人以上…2人(専属)※③参照
※1 専属の産業医とすることが必要な事業場(専属=その事業場に所属していること)
① 労働安全衛生規則第13条第1項第2号で定める業務(有害な業務)に常時500人以上の労働者を従事させる事業場は該当。
② 常時1,000人以上の労働者を使用するすべての事業場は、専属の産業医が必要。
③ 常時3,000人以上の労働者を使用するすべての事業場は、2名の専属の産業医が必要。

産業医が必要な人数
産業医が必要な人数

<参照元>
・ 公益社団法人東京都医師会「産業医とは」

専属産業医と嘱託産業医のちがい

嘱託産業医とは

常時いる労働者が50~999名の場合、選任する産業医の形態は嘱託(非常勤:月1回~)で可能です。
※ただし、事業場が以下の図にある有害業務の場合は、500名以上で専属産業医が必要になります。

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専属産業医とは

常時いる労働者が1,000名の場合(事業場が以下の図にある有害業務の場合は500名以上)、専属産業医を選任する必要があります。
また、常時3,000名を超える場合は、専属産業医を2名以上選任する必要があります。


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ご相談・
お問合せはこちら

お電話での受付はこちら
本社:03-3464-4000
大阪支店:06-6209-2500

500人以上の事業場で専属産業医が必要な業務

(1) 多量の高熱物体を取扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
(2) 多量の低温物体を取扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
(3) ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務
(4) 土石、獣毛等の塵埃又は粉末を著しく飛散する場所における業務
(5) 異常気圧下における業務
(6) 削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
(7) 重量物の取扱い等重激な業務
(8) ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
(9) 坑内における業務
(10) 深夜業を含む業務
(11) 水銀、砒素、黄燐、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、一酸化炭素、 二硫化窒素、亜硫酸、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物の ガス、蒸気、又は粉塵を発散する場所における業務
(12) 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
(13) その他厚生労働大臣が定める業務

非正規雇用の従業員(契約社員・派遣社員・アルバイトなど)について

非正規雇用の従業員(契約社員・派遣社員・アルバイトなど)は、労働者数に 含まれます
こういった非正規雇用の従業員は、以前は定期健康診断の実施対象者(正社員の3/4以上の時間、勤務している者)が従業員としてのカウント対象でした。
しかし昨今は、事業者の安全配慮義務という観点から、定期健康診断の実施の有無に関わらず、公式な従業員としてカウントするようにと労働基準監督署からの回答が変化してきています。
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